陽キャ同級生、部屋が全部推しでできてる
飲み会で酔いつぶれて、目が覚めたら知らない天井。それだけでもじゅうぶん怖いのに、電気がついた瞬間に本当の意味でぞっとします。壁も棚も床も、全部自分のグッズで埋め尽くされた部屋。しかもそれを3年以上かけて自作してきた相手が、あの陽キャの蒼木くんで——という設定だけで、もう勝ちの作品です。
「気持ち悪いです蒼木くんっ」のあらすじ
大学の飲み会で、隅っこでドリンクを飲んでいた陰キャ気質の女子大生・ちおり。そこに声をかけてきたのは、同じ高校からの顔見知りでほぼ話したことのなかった陽キャの蒼木颯太でした。アニメの話で意外なほど盛り上がり、勧められるままお酒を飲んでいたら——気づいたら真っ暗な部屋のベッドの上。蒼木の家に連れてこられていたちおりは、「推し部屋を見られたくない」という彼の言葉に首を傾げながら電気をつけてもらうと、壁一面を埋め尽くす自分の缶バッジ・アクスタ・ポスター・ぬいぐるみに絶句します。「俺が3年以上かけて作ったコレクション」と恍惚とした声で言う蒼木は、この瞬間からもう止まらなくて……
「気持ち悪いです蒼木くんっ」の読みどころ
シチュエーション
「推し部屋」の開示シーンの設計が巧妙で、暗い部屋でじわじわ焦らしてから電気をつけるという演出が効いています。グッズの種類が缶バッジ・アクスタ・ポスターだけでなく抱き枕・うちわ・ぬいぐるみまで及び、しかも自作という情報が積み重なって、読者のドン引きと高揚が同時に来ます。
心理描写
蒼木が「ハイになってるオタク」として振る舞いながら、ちおりに触れるたびに微妙に余裕を失っていく流れが丁寧です。ちおり側も最初の恐怖から困惑・快楽への流れが段階的で、「わかってるのに止まれない」感が出ています。強火オタの本気と男としての独占欲が混在しているのが蒼木の一番やばいところです。
絵柄・演出
モノクロメインで画面が暗めなぶん、表情の描き込みに集中して読めます。蒼木の「恍惚としたオタク顔」と「余裕を失った男の顔」の切り替えが一コマで伝わる描き分けがあって、そこが作品の核です。ちおりの崩れていく表情もコマごとに変化がついており、視覚的な単調さがありません。
「気持ち悪いです蒼木くんっ」のストーリー展開
- 序盤
- 飲み会の隅でひっそりしていたちおりに蒼木が話しかけてくるところから始まります。「陽キャがなんで?」という戸惑いがアニメトークで解けていく流れは自然で、読者もちおりと一緒に警戒心を下げながら読み進めてしまいます。
- 中盤
- 暗闇の中で目覚めてから推し部屋が明かされるまでの展開がこの作品の山場です。電気をつけるまでの数ページがじわじわと不穏で、グッズの全貌が視覚として提示された瞬間の衝撃は読んで体験してほしいです。そこから蒼木のテンションが一気に溢れ出します。
- 終盤
- 関係性がどこへ向かうのかは読んでのお楽しみですが、蒼木の執着が「オタクの熱量」から「男の独占欲」へと変わる瞬間がちゃんとあります。後味は怖いのか甘いのか、その両方が混ざった読後感でした。
「気持ち悪いです蒼木くんっ」が刺さるのはこんな人
- ストーカー・執着系の設定は好きだけど、どこかコミカルな温度感も欲しい人
- 陽キャの皮を被った重めオタクという属性の攻めに弱い人
- 「推し活」「オタク文化」に馴染みがあって、グッズ部屋の描写でリアルにぞっとできる人
「気持ち悪いです蒼木くんっ」を読んだ感想
序盤、蒼木くんはちゃんと「いい人」に見えます。酔いつぶれたちおりを家に連れて帰って、服も乱さずに寝かせて、暗い部屋で優しい声で話しかけてくる。「推し部屋を見られたくない」というのも、オタクなら共感できる羞恥心として読める。ここまでは丁寧に伏線を張っていて、読者の油断を誘導するのが上手いです。
電気がついた瞬間の見開きページが、この作品の全部です。缶バッジ・アクスタ・ポスターだけじゃなく、抱き枕・ぬいぐるみ・うちわ、窓際には本人着用疑惑のセーラー服まで。しかも市販品じゃなくて自作が混じっているという情報がさらっと出てきて、3年以上かけて積み上げてきた「本物の強火担」の厚みがあります。ユーザーレビューにある「想像を遥かに超えてた」という感想は正直で、たしかにサンプルを見て想定した上限を実物は軽く超えてきます。
蒼木の心理として面白いのは、「恍惚としたオタクモード」と「男としての独占欲」が別々に存在しているところです。推しのグッズに囲まれて「頭おかしくなりそ♡」とハイになっている顔と、ちおりに触れていくうちに余裕を失っていく顔が、コマの中でちゃんと切り替わっています。前者はコメディ寄りの温度感で読めるのに、後者になった瞬間に空気が変わる。この落差が蒼木というキャラクターの「やばさ」を立体的にしていて、単純な執着系キャラには収まらない複雑さがあります。
ちおり側の感度変化も段階が踏まれています。最初の「殺される」という恐怖からじわじわと変化していく過程が丁寧で、快楽に引っ張られているのを自分でも認識しながら止まれない、という表情がコマごとに変わっています。エロシーンとしてはローションを使った焦らし乳首責めから始まって、クリ責め・手マン・Gスポ責め・種付けプレス・寝バックと順序よく進むので、読み手のペースが乱されにくいです。乳首描写は丁寧で、ぴりぴりするローションという小道具が「気持ち悪いくらい感じてしまう」状況の説得力を補強しています。
作画はモノクロで画面が全体的に暗めですが、それが推し部屋のホラー感と合っていて、明るいトーンだったらここまで不穏にならなかっただろうと思います。表情の描き込み密度が高く、特に蒼木が「余裕を失った顔」になるコマはしっかり見せてくれます。体格差も控えめながらちゃんとあって、押さえ込みのシーンに説得力が出ています。
このサイトの読者にとって刺さるのは、蒼木の「オタクとしての純度」と「男としての執着」が分離せず同居しているところだと思います。ストーカー設定の作品は多いですが、グッズ自作・推し活という現代的なガジェットを使っているぶん、距離感のリアルさが一段違います。「強火担に推されたら」という妄想の解像度が高い一冊です。
「気持ち悪いです蒼木くんっ」のよくある質問
Q. 絵柄はどんな系統ですか?萌え系ですか?
萌え系と劇画の中間くらいで、線が繊細でグラデーションを活かしたモノクロ画風です。ヒロインは可愛らしい顔立ちですが崩れすぎない等身で、蒼木は長身でシャープな顔立ちに描かれています。画面が全体的に暗めなのでふんわり萌え系を期待すると少し違うかもしれません。
Q. 攻めのキャラクターはどれくらい「重い」ですか?怖い系ですか?
ストーカー設定ではありますが、作中は恍惚としたオタクノリと独占欲が混在していてコミカルな場面もあります。純粋な恐怖系というより「ドン引きなんだけどどこか笑える、でもやっぱり怖い」という温度感です。暴力的・冷酷なタイプではなく、重さの方向性は「熱量が過剰なオタク」寄りです。
Q. エロシーンのボリュームはどれくらいですか?
本編69ページで、推し部屋の開示からエロシーン突入まで序盤の掴みにしっかりページを使っています。エロ自体は乳首責め・クリ責め・手マン・Gスポ責め・挿入と複数プレイが入っており、ボリューム感はあります。定価880円に対して読み応えは十分ですが、薄い本としては標準的なページ数です。
TL同人文庫 編集部
TL同人レビュー班
月100作以上を読み込むTL同人専門チーム。実際に通読したうえで本音で評価しています。
4.2
- エロ
- 4.2
- ストーリー
- 4.4
- コスパ定価基準
- 3.8
- 読後感
- 4.3
「推し部屋」という現代的な設定で執着系の解像度を上げた一冊です。蒼木のオタクとしての熱量と男の独占欲が交差するキャラクター造形が面白く、ストーカー設定に現実感を求める読者に合います。定価880円に対してエロ密度・ストーリーともにバランスよく、コスパはやや標準的な水準です。